風にあたる


心にふれる、という言葉がこんなに似合う歌はないと思う。
                     ──東直子
(歌人)
もといくんの歌集の中で暮らしたい ゆくてのシャツを乾かしながら
                     ──枡野浩一
(歌人)

【歌集より】

ほっといた鍋を洗って拭くときのわけのわからん明るさのこと

乗るたびに減る残額のひとときの光の文字を追い越して行く

菜の花を食べて胸から花の咲くようにすなおな身体だったら

三基あるエレベーターがばかだからみんなして迎えに来てしまう

ないような夜と海とのあわいからちぎれる波に洗われていた

恋人をまじえて水炊きをかこむ呼びようのない暮らしの夜だ

夕闇にしずむこの世のおみやげに吊るしたシャツは風が抱き取る


2019.7.23刊
四六判変型152頁
ソフトカバー
ISBN978-4-86272-618-6


2010年から2019年までの
短歌作品346首を収録
販売価格 1,700円(税込1,870円)

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