あしたの孵化

「控えめに言って、この歌集、かなりいいんじゃないか」
(荻原裕幸)
絶望にも至らず、虚無にも落ちず
自らを保つ知性は、今日の若い世代のもつかなしみでもあろうか。
「あしたの孵化」という題名は、そのまま薄い光を覗かせる
希望への希求であり、示唆的である。 ──────馬場あき子・帯より


ナポレオンは三十歳でクーデター ほんのり派手なネクタイでぼくは
キリン二頭くちづけせんと首伸べているサバンナのTシャツを着る
やがて孵るものはおそろし花冷えの窓より放るかまきりの卵
人を恋うこころのごとく立つポン酢小さき土鍋の湯気に濡れつつ
冬枯れに中華料理屋華やぎて人間はみな踊るシュウマイ


栞=荻原裕幸/松村由利子/寺井龍哉
装画=福田利之 装幀=酒井田成之(sakaida design office)
  • 2,000円(税込2,200円)