どこにたどり着いても愛になる。
なんて野蛮で、なんてやさしい言葉たち。
この歌集がこの世にあることが、
怖いくらいうれしい。
──東直子(歌人・小説家)
2011年に刊行され版を重ねてきた歌人・雪舟えま氏の第一歌集。
これまで詩歌に触れたことがない人にも最初の本としてお薦めの一冊。
【歌集より】
目がさめるだけでうれしい 人間がつくったものでは空港がすき
とても私。きましたここへ。 とてもここへ。白い帽子を胸にふせ立つ
ふと「死ね」と聞こえたようで聞きかえすおやすみなさいの電話の中に
逢えばくるうこころ逢わなければくるうこころ愛に友だちはいない
うれいなくたのしく生きよ娘たち 熊銀行に鮭をあずけて
一番の友が夫であることの物陰のない道を帰りぬ
著者プロフィール
1974年 札幌市生まれ。
1997年 歌誌「かばん」入会。
2009年 第52回短歌研究新人賞次席。
装幀=名久井直子
2011.4.4刊
四六判並製/140頁
ISBN978-4-86272-246-1