古典和歌と現代短歌を切りむすぶ、三十三番勝負
第二十一番涙 トリビアリズム対決
『古今集』藤原高子の
鶯のこおる涙
vs
冷蔵庫におちる穂村弘の涙
----------
鶯の涙が幼さの美しさを知らせる藤原高子の歌。卵置き場の涙が無邪気さの暗さを垣間見させる穂村の歌。
どちらもごく微量の涙が詠み込まれていながら、そこから広がる波紋はとてつもなく大きい。(本文より)
ひとつぶの
涙から
世界は広がる
----------------------------------------------
《三十三番歌合せより》
〈第一番〉行く春
躬恒の季節の区切りvs子規の今年限りの春
〈第六番〉あやめ
『古今集』の一途な恋vs馬場あき子の心の闇
〈第七番〉北
持統天皇の雲たなびく北山vs佐佐木幸綱の魔力もつ北
〈第十番〉菊
藤原敏行の天上の星vs青き菊にちぎった塚本邦雄
〈第二十四番〉酒
坂上郎女「飲みての後は散りぬともよし」の解放感vs若山喜志子・牧水の酒の歌
〈第二十七番〉足
山路を越える狭野弟上娘子vs俵万智の平行線の足
〈第三十二番〉星
右京大夫の星夜のあはれvs星にことばを返した岡井隆
【著者プロフィール】
栗木京子(くりき・きょうこ)
1954年、名古屋市生まれ。京都大学在学中に短歌と出会う。
歌集に『夏のうしろ』(読売文学賞、若山牧水賞)、
『けむり水晶』(迢空賞)、『ランプの精』(毎日芸術賞)など。
歌書に『うたあわせの悦び』『現代女性秀歌』『短歌をつくろう』など。
「塔」短歌会選者。読売新聞、西日本新聞の歌壇選者。現代歌人協会理事長。
装丁=坂川栄治+永井亜矢子(坂川事務所)
装画=増島加奈美
*本書は本誌「短歌研究」2008年8月号より2010年6月号まで連載された
「超時空歌合せ」に加筆・改題したものです。
2013.6.1刊
塔21世紀叢書
四六判上製/272頁
ISBN 978-4-86272-349-9
c0095