【歌集より】
朝の胸にささやき交わす声のして海見ゆる谷渡る小鳥ら
湯の町の音の響きはなめらかに夜を光りつつ流れゆく水
海ちかき岩盤のうえの方形の原子炉建屋にあそぶ鳥無し
今年咲きし雪の小鈴の花ふたつ放射能雨に濡れはじめたり
亡き君が今もあゆみて行くが見ゆ白ハンカチの花の木の下
とめどなく高く降り来る笹の葉にときに紛れて春つばめ飛ぶ
──この歌集も多くの友人や、大切な連れ合いを失った日々であり、
その方々の恩恵により、この歌集は成立しました。──
(「あとがき」より)
『弓弦葉の季』につづく待望の第三歌集!
2020.6.17 刊
上製四六判/216頁
ISBN978-4-86272-641-4
C0092 ¥2500E