〈歌集より〉
ひつじ雲満たせる空にとんぼの群透きたる羽は細かくひかる
ゆれてゐるいまをさかりの藤の花呼吸が聞こゆる独りのあゆみ
追ひ越しゆくその人らしき音立ててわたしはわたしの音に生きゐる
ちさき背をやはく押しくる青年のわがしらぬ世に生きる指先
夕陽あびむらさきに輝る連峰がぐらり音して傾ぐ日なきや
わが心ゆらめくやうに夕ぐれの白きすすきは頬に触れつつ
「人生を大切に生きる武内さんの歌からは、教養に裏打ちされた感受性と、精神の強さが匂い立つからだろう、
「まだまだ大丈夫」と励まされているようで、心に染みる。」
尾崎まゆみ(解説)
2020.7.15刊
上製四六判/180頁
ISBN978-4-86272-642-1
C0092 ¥2500E