裸眼で触れる   松本典子歌集

震災、原発、母の老い、不穏な世情、内戦、難民・・・。
生きがたい時代を
懸命に生きる人々の
命のきらめきを見つめて。

『いびつな果実』『ひといろに染まれ』に続き
七年ぶりに世に問う第三歌集!


〈歌集より〉  

あふぎ見るたわわの桜すべての歯こぼれるまでに母は生きて来て

「ふるさとを除染するため」食べるため原発へ向かふひとバスに消ゆ

〈保育園落ちたの私だ〉プラカード持つパパはゐず泡雪が舞ふ

シリアから逃れしだれもが持たぬ鍵ひかれりわが家のドア閉むるとき

ひといきにキャンドルの火を吹き消せばくらやみに生るつぎの戦火が


かりん叢書
2017. 9.1刊
四六判/148頁
定価2,200円(本体2,000円)
ISBN 978-4-86272-545-5
販売価格 2,000円(税込2,200円)

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