沈むまへに足をぬいてとかげが走るあのときはビルにむかつて
言葉を抱えて走る、沈むな!
長い沈黙を破り、15年ぶりの第四歌集、刊行。
生きているものの言葉か、死んでいるものの言葉か。
老人が話しているのか、子供が話しているのか──。
不気味な言葉の響きにも、純粋無垢な言葉のようにも感じる、
不思議な深い短歌の世界──。
「前衛短歌」の最後の瞬きとも言われる、平井弘。
岐阜のみならず、短歌界大注目必至の、15年ぶり最新歌集。
【栞付き】 斉藤斎藤の解説 + 著者 平井弘自身による「遣らず ト書き控え」
「死にゆく側と生きのこる側が、くりかえしなかよく入れ替わる。
「誰が」のわからない言葉が、いつまでもこだましつづけている。」
──斉藤斎藤(栞より)
【期間限定・HPショップのみの購入特典】
小冊子「七七私塾(しちしちしじゅく)」(全32ページ)
平井弘の異色作品集。塾生の短歌に、大胆不敵に手を加え変身させる平井マジック。
添削を超えた創作。
【歌集より】
沈むまへに足をぬいてとかげが走るあのときはビルにむかつて
ねえむうみんこつちむいてスコップのただしいつかひかたをしへます
そうかこの軍服がみえてゐないか王さまはうれしくなりました
なんでもいい犬死でやつてみませうかさせさせるさせればさせよ
【著者プロフィール】
平井弘(ひらい・ひろし)
1936年岐阜市生まれ。岐阜の前衛短歌運動を牽引した同人誌「斧」の創刊メンバー。
第一歌集『顔をあげる』(1961年)、第二歌集『前線』(1976年)、第三歌集『振りまはした花のやうに』(2006年)。
きわめて寡作ながら、いまも作品は引用され、論じられ続けている。
2021. 3.10刊
A5判並製/224頁
ISBN 978-4-86272-658-2