架け替えの錦帯橋材検査するヒノキ香滲む汗を拭きつつ
・・・あの美しい五連橋は匠たちの精緻な技の成果だということを
「錦帯橋の歌」はよく伝えている。原田さんはその当事者でありながらも、
過度な思い入れを排して抑制的な表現に終始している。だから橋ができる
までの行程の技が、その魅力が、そのまま読者に伝わってくる。そこに
この一連の特色がある。
──三枝昂之(跋より)
【歌集より】
初春の空へ掛矢の音響き白木の虹橋仕組まれてゆく
清やかな周りに和して端麗な木組みかたどる五連反り橋
特攻兵「さらばの翼」を振りながら南へ去りし空を忘れず
峡深く訪ね泉の丸き輪に水生む森の営みを知る
人を待つ心に季の定めなく「御歌」は祈りの岸へ誘う
(平成二十四年一月宮中歌会始の儀を陪聴して)
【著者プロフィール】
原田俊一(はらだ・しゅんいち)
昭和7年生まれ
昭和31年 山陽パルプ株式会社 入社
平成5年 蜀紅短歌会 創立
同 年 りとむ短歌会 入会
平成18年 第21回国民文化祭(短歌部門)選者
〔公財〕吉川報效会常任理事(平成17年6月〜29年6月)
NPO法人宇野千代生家理事長(平成17年5月〜 )
2021. 10.1刊
四六判上製/232頁
ISBN 978-4-86272-685-8