北緯43度  遠藤由季歌集

二転三転しながら出来上がった歌集は、
Covid-19の感染が広がる前の世界をパッケージした一冊だった。
忘れずにとどめておきたかった風景たちだった——
                      (あとがきより)


「短歌研究」連載作品を中心に290首を収録。
『アシンメトリー』『鳥語の文法』に続く待望の第三歌集!


【歌集より】

前かがみに人々走らす広重の雨の角度をいま窓に見る

あきつ国なりし大地にパンプスを脱ぎ捨てて立つスニーカーのわれ

〈もう〉と〈まだ〉に揺らぐわれらは食べている明太子のせ厚焼き卵

翼鏡を光らせて発つ鳥だったドアミラー照り返したあのひと 

心いま針のようなりひとすじの糸通さねば慰められぬ

あの雲はいちどきりなる夏の雲思い切りよく崩れてゆきぬ


装幀=花山周子


かりん叢書
四六判並製/188頁
ISBN978-4-86272-688-9
販売価格 2,200円(税込2,420円)

カテゴリーから探す

コンテンツ