――風が膨らむように吹いていた夜だった。
2010年代以降の短歌シーンを支えつづけた「あの男」が、ついに!
決意と孤独と優しさの第一歌集!
「生きるために世界の「冷たさ」に馴染んでみようと努めてみる。」
――文月悠光(栞より)
「こんな孤独な言挙げを最近あまり見なくなった。ああ、いいな、と思う。」
――吉川宏志(栞より)
【歌集より】
寒気団 いずれ私が立つはずの荒野を澄ますために寄り来る
作業員・廣野翔一、醜聞の特に無ければ赤だし啜る
われを慰め家へ帰せり 怪獣を星ある方へ戻すごとくに
【著者プロフィール】
廣野翔一(ひろの・しょういち)
1991年生まれ。大阪府出身、首都圏在住。
京大短歌を経て、「塔」短歌会所属。
「穀物」同人、「短歌ホリック」同人。
同志社大学法学部卒。
装丁=かじたにデザイン
2022.11.20刊
四六判並製/242頁
ISBN 978-4-86272-730-5