第三歌集『memorabilia/drift』と同時刊行の第四歌集
おだやかな暴挙を見守ってくれている人に感謝を。
いまよりすこし良い世界を夢に抱いている人に、寄り添えますように。
「『小さなもの』にその輝きの選択権を明け渡すことで、言葉が確かに点滅しながら。」
──井上法子(栞より)
「世界がアホらしいとき、抒情で立ち向かってはいけない。」
「アホらしさのままに。しかし悼ませてもほしいときに」
── 伊舎堂仁(栞より)
【歌集より】
老いてゆくわが身裡にも性欲は水銀のごとく深くしづもる
手を挙げてもタクシーは通りすぎてゆくぼくにこどもはいなか った った
ポエジーに正しさはあるというのなら私は正しく間違えている
アクセルが(バーニラバニラバーニラきゅうじんバーニラ)戻らなかった
nation(国民)とnation(国家)との違いをおもうとき男児が長い枝見せてくる
【著者プロフィール】
中島裕介(なかしま・ゆうすけ)
1978年 兵庫県小野市生まれ
2008年 第一歌集『Starving Stargazer』(ながらみ書房)
2012年 『もしニーチェが短歌を詠んだら』((角川学芸出版)
2013年 第二歌集『oval/untitleds』(角川学芸出版)
2022年 第三歌集『memorabilia/drift』(書肆侃侃房)、
第四歌集『polylyricism』(短歌研究社)
2022年現在、団体職員。東京大学大学院教育学研究科博士課程在籍
装丁=奥定泰之(オクサダデザイン)
2022.11.20刊
11 x19 cm上製/120頁
ISBN 978-4-86272-731-2