南国高知に居を構える作者には土地の風光を愛で、そこに詩情を見出す
歌が多い。郷土愛とか自然詠などという普通の言葉では言い尽くせない、
生きものの命の歌が聞こえてくる。
──来嶋靖生(序より)
【歌集より】
秋空に触れむとや鯔跳ねつづけ川面一面音の止むなし
接続と活用形と意味もちて結びあへるを知りしよろこび
ペダル踏む少女の膝のすこやかさ秋の堤のはては大空
この年の瑞兆ならむ横雲のましろき縁に初虹の立つ
【著者プロフィール】
森田睦子(もりた・むつこ)
1945年 高知県に生まれる
1968年 高知県立高知女子大学文学部国文学科卒業
2006年 高知県高等学校教諭を定年退職
温石短歌会入会
2010年 槻の木会入会
2016年 楓の会入会
2022.6.11刊
四六判上製/228頁
ISBN978-4-86272-705-3