夫、子供たち、孫の歌は、どれもあたたかい。
ヤフーに将棋をさす夫、パソコンのトラブルを直してそそくさと帰る息子、
「バアバ自分で考えなさい」という孫。佐藤家皆さんの頭脳は理科系のようだ。
たんたんと歌いながら、そのようなことまで推察させるのも、作者の表現力に加えて
観察力によるものだろう。
── 大下一真(跋より)
【歌集より】
オレンジとコバルトブルーの翡翠よ生き難くないか目立ち過ぎれば
雨粒の落ちはじめたる夜に入り夫がヤフーに将棋さす音
窓ゆらす風強き日は冷えまさり風の話題が挨拶となる
訪い来たる息子の会話はずみつつ無口でなきを離れて知りぬ
先の世は鳥でありしか日の暮れは足早となる塒を恋いて
2022.2.5刊
四六判上製/220頁
ISBN978-4-86272-691-9