刺激的で、爆発的で、戦闘的で、好戦的で、挑発的で、スラプスティックで、ちょっと下品で、
ちょっとセンチメンタル。 ──金原瑞人「図書新聞」3162号より(2014/6/14)
短歌研究新人賞受賞作「六千万個の風鈴」、介護の現場を詠んだ「ほら穴」、
就職活動の悲喜劇を描いた「氷河期だより」、方言文体を用いた一連、SF、パロディ、手書き短歌など
様々な連作を集めたアンソロジーのような第一歌集。
付録「ねこ」つき。解説・黒瀬珂瀾。
♦歌集より
ごみ箱に天使がまるごと捨ててありはねとからだを分別している (六千万個の風鈴)
ささやかな夜間飛行の右向きにねむるからだをひだりにむかす (ほら穴)
「今日未明、ハローワークに忍び込み仕事を奪って逃走しました」 (氷河期だより)
冷蔵庫ひらけばそそぐ橙のひかりのなかで懺悔をしとる (No Mouth)
見えるっていうそのことが美しい降る雪のみな落ちゆく朝に (紅茶を飲むという経験)
♦著者について
吉岡太朗(よしおか・たろう)
1986年8月27日石川県小松市生まれ。介護福祉士。
2005年、井辻朱美の短歌にふれて、作歌をはじめる。
2007年に第50回短歌研究新人賞を受賞。
2014.4.1刊
四六判上製/192頁
ISBN978-4-86272-374-1