現代短歌新人賞受賞の『世界はこの体一つ分』から6年ぶりの第二歌集!
川口さんを愛し縛ったかもしれない「家族」の「ビーチパラソル」は
思いがけないはやさで失われた。〈問い〉や〈不安〉や〈ユーモア〉や
〈身体〉をいっぱいに抱えながら、しかし、川口さんはそういう人生の
激流にも果敢にことばで立ち向かった。そこに力強さと個性を増して
あらわれた歌がある。
――米川千嘉子(帯より)
【歌集より】
左手と右手のミニカー衝突す加速もブレーキもなく「戦争」
平坦な道をピンヒールで転ぶ夢さ したたかに花魁道中
才能というギャンブルにくずおれた家族が回すビーチパラソル
ただ一度母の眉毛を描く朝(ルビ:あした)母の求めし〈自由〉を思い
アイドルが放つ表面張力を思い出しつつ歯を磨きおり
【著者プロフィール】
川口慈子(かわぐち・やすこ)
1984年 茨城県高萩市生まれ
2003年 かりんの会入会
2008年 第51回短歌研究新人賞次席
2010年 第30回かりん賞受賞
2015年 武蔵野音楽大学大学院音楽研究科博士後期課程ピアノ専攻単位取得
2017年 第一歌集『世界はこの体一つ分』刊行
2018年 第18回現代短歌新人賞受賞
装幀=大久保伸子
カバー写真=森山大道
2023.5.10刊
かりん叢書
四六判変型並製/176頁
ISBN978-4-86272-737-4