春日井建没後、歌誌「井泉」に連載。
最終回を目前に急逝した著者が
師の人となりを克明に描出する畢生の評伝!
三島由紀夫に「若い定家」と称された早熟な歌人は、
歌とわかれ、しかし歌に帰った
一九九七年三月、私は「短歌」の編集スタッフに加えられた。爾来、亡くなるまでの七年間、編集日と月例歌会にはかならず顔を合わせるという、私と建との関係が始まった。それまでにも校正など、編集の補助作業に携わっていたが、月に二度、かならず会うようになったのはこの時が初めてである。
それを機会に私は、建と短歌に関するメモを取り始めるようになった。(…)以後、編集日に建から聞いた話や短歌関係の言行が日付入りで記録されている。したがってこの評伝の記述も、九七年以降、「行状記」としての精度が格段に増すことになる。
(第5章「今に今を重ねて」より)
【著者プロフィール】
岡嶋憲治(おかじま・けんじ)
1953年 愛知県名古屋市に生まれる
1980年 中部短歌会に入会
1988年 短歌賞新人賞(中部短歌会)を受賞
1992年 短歌賞(中部短歌会)を受賞
1997年 「短歌」の編集に加わる
2004年 春日井建の死去により中部短歌会を退会
2005年 井泉短歌会創立に加わる 「井泉」編集委員となる
創刊号を「春日井建追悼号」とし、次の3月号から春日井建の「評伝」を連載
2014年 連載の最終回を目前に交通事故にて急逝
2016.7.18刊
井泉叢書
四六判上製/420頁
ISBN978-4-86272-496-0