続・くちびるを読む  香田小茅歌集

小学校時代にスプレプトマイシンの副作用で全聾となり、ろう学校にて
唇の動きで言葉を読み取る「読唇」を学んだ著者。
理容師となり、同じ聴覚障がいのある夫と助け合いながら四十年にわたり
理容店を経営した。
石川啄木の『一握の砂』に出会って短歌を始め、「未来」にて研鑽。
障がいを「個性」として生きたいと願い、常に明るく、感謝の思いを忘れない
著者の第二歌集。
短歌作品の他、新聞・雑誌に掲載されたエッセイも収録。



【歌集より】

身に残る時間を今日も人の髪刈りて過ごせり窓はしぐるる

立ち仕事退きて柔ぐと夫が見す足裏あわきくれないの皮膚

大通りの向こうの手話に教えられビルをまたぎし冬虹に逢う

障害の受容は救済の一歩にて鬼となり説く失聴の不治

読みやすき少女の唇(しん)とお喋りす秋陽ぬくとき公園の椅子

眠れぬも朝陽のぼれり亡き夫にもう無い朝がわれに来たりて



【著者プロフィール】
1942 年 樺太に生まれる
1949 年 前年肺を病み、1年遅れて小学校に入学
1951 年 脳脊髄膜炎を病み、治療薬スプレプトマイシンの副作用で全聾に
1955 年 中学に入学するも数学・英語の学科についてゆけず
1956 年 北海道札幌ろう学校へ転校し、「読唇」を学ぶ
1961 年 高等部理容科卒業
1962 年 福岡県に転居。2年後に結婚し、北九州市民となる
1970 年 作歌を始め、地元歌誌「向日葵」「渦」「清流」に参加
1981 年 「未来」に入会し、近藤芳美選歌欄に投稿
2001 年 第一歌集『くちびるを読む』刊行
2006 年 近藤芳美氏亡き後、大島史洋選歌欄へ



*産経新聞に書評が掲載されました。(2023.7.16)
*西日本新聞に書評が掲載されました。(2023.7.28)




2023.6.8刊
四六判上製/208頁
ISBN978-4-86272-740-4

販売価格 2,500円(税込2,750円)

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