山水(さんすい)  玉井清弘歌集

2017年から2022年までの総合誌などに発表した作品をまとめた第十歌集。
七十代の末から八十代はじめの作。
「親友知己の思いがけない卦報に接することが幾度かあり、身にしみるような人生の時期でもあった。」とあとがきに記す。



【収録作品より】

なにせんと生れしこの世なにもせず待ちている間に桜咲き満つ

西へ西へ歩みてゆかばおのれへと還りゆくべし伊予路へつづく

あなたはね伊予の人だよ伊予に来て伊予の人らに混じり語れば

じゃこ天の伊予よりどっさり届きたり南予の風を舌はよろこぶ

山したたる季語に祝われ誕生日 残生ふかき歌をのこせよ

摘み採るを許したまえよ道の辺のカヤツリグサにネコジャラシの穂



【著者プロフィール】
1940年 愛媛県生
1976年 第一歌集『久露(きゅうろ)』刊
1986年 第二歌集『風箏(ふうそう)』刊。芸術選奨文部大臣新人賞
1993年 第三歌集『麴塵(きくじん)』刊
    『鑑賞・現代短歌八 上田三四二』刊
1995年 『現代短歌文庫 玉井清弘集』刊
1998年 第四歌集『清漣(せいれん)』刊。日本歌人クラブ賞受賞
2001年 第五歌集『六白(ろっぱく)』刊。山本健吉文学賞、短歌四季大賞受賞
2004年 第六歌集『谷風(こくふう)』刊
2007年 『時計回りの遊行 歌人のゆく四国遍路』刊
     第七歌集『天籟(てんらい)』刊
2013年 第八歌集『屋嶋(やしま)』刊。詩歌文学館賞、迢空賞受賞
2018年 第九歌集『谿泉(けいせん)』刊
他に香川県文化功労者、文化庁地域文化功労章、四国新聞文化賞など



2023.10.1刊
A5判上製/186頁
978-4-86272-745-9
販売価格 2,700円(税込2,970円)

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