いのちとは、意識の流れ
第二歌集『サフランと釣鐘』から十一年、
意識の深みより湧き出た歌を丹念に繋いだ第三歌集
【歌集より】
スワロフスキーの硝子のあひる口あけてなにか訴ふ飾り棚の中
透明なガラス愛すれど自らが透明になりたきわけにはあらず
魚の手はまぼろしなれば水草に隠れてひそとまなぶたを搔く
いま誰か生まれたやうに鮮やかな黄のクロッカスかなしき光
はらはらと羽毛が降ると夫(つま)はいふ樹上でつみが雀を食へば
装幀=花山周子
【著者について】
浦河奈々(うらかわ・なな)
1966年 茨城県生まれ
2005年 歌林の会入会
2007年 短歌研究新人賞次席
2009年 かりん賞受賞
同 年 第一歌集『マトリョーシカ』上梓
2010年 同歌集にて第十回現代短歌新人賞受賞
2013年 第二歌集『サフランと釣鐘』上梓
現代歌人協会会員
2024.6.12刊
かりん叢書第432篇
四六判ソフトカバー/220頁
ISBN978-4-86272-771-8