塚本邦雄作品に衝撃を受け短歌を志した著者が、
相見えることのなかった師へ捧げる第一歌集。
過ぎ去った「季節の余熱」──思春期の居ても立ってもいられぬ焦燥感──を歌に甦らせる。
【歌集より】
地にいまだ過ぎ去りし季節の余熱 落ち来る雪を次々と消す
何億の精子の一つわが母に出逢わなければ今どこにいる
暮れてなお湖面はありき今日雲が為したすべてを映し終わりぬ
光さえ届かぬ沖をゆく船よ父とは寒い灯台である
【著者プロフィール】
太田二郎(おおた・じろう)
1951年 東京都生まれ
スポーツ新聞で主として紙面レイアウトに従事
29歳から作歌を始め、?本邦雄、寺山修司に影響を受ける
2016年 「玲瓏」に入会、現在に至る
2024.7.17刊
四六判変型・上製/192頁
ISBN978-4-86272-779-4