死んだ親友が乗っていた巨大船が、いま東京湾で非業の死に瀕している。
事故処理のために、船は湾外に曳航され、沈められる。友の死の謎を、抱え込んだまま──。
表題作「曳きずる海」に加え、「光の跡」「時間の沈黙」「北のアルビレオ」を収録した中編集。
【著者プロフィール】
前川佐重郎[マエカワ・サジュウロウ]
1943年6月28日、父・前川佐美雄、母・緑の長男として奈良県に生まれる。1966年3月、早稲田大学政治経済学部卒業。4月、日本放送協会(NHK)入局。横浜支局で海事記者クラブを経て、経済記者として通産省、経団連などの取材を担当。1990年6月、NHK放送文化研究所放送情報調査部副部長。同年、父・前川佐美雄創刊の「日本歌人」を継承、編集人となる。1998年8月、日本放送協会編『20世紀放送史』の「占領と放送」編集責任者となる(2001年3月刊行)。歌集に『彗星記』(1997年、ながらみ書房・ながらみ出版文化賞受賞)、『孟宗庵の記』(2013年、短歌研究社)現代短歌文庫『前川佐重郎歌集』(2016年、砂子屋書房)、おもな評論に『山中智恵子の歌』『斎藤史の歴史性』『現代短歌の位相』がある。
2024.6.28刊
四六判ソフトカバー/344頁
ISBN978-4-86272-770-1