本条さんの言葉は、のびのびしているけど、背伸びはしていない。
等身大の言葉でしか書けないことを、確かな手触りで伝えてくれる歌たち。
その一つ一つが愛おしい。日常の中に詩があることを、あらためて思う。
俵 万智(帯より)
「第一部」には、主に学生時代や独身時代など、昔を思い出しながら詠んだ歌。
「第二部」には、主に子どもがいる生活の歌。
「第三部」には、コロナ禍以降の歌がまとめられている。
ふたりめの子どもが生まれ、子どもたちがそれぞれに幼稚園・小学校などへと進み、
その後病を得て入院。そうした目まぐるしくもかけがえのない12年間の作品が
詰まった一冊である。
【歌集より】
どんな陽を風を言葉を浴びてきたチリ産アスパラ98円
「迷う」って打とうとしたのに三回も間違えて、もう「魔王」で生きてく
夕闇に自転車を漕ぐどうしても寝てしまう子を後ろに乗せて
イヤホンを通じて脳に送られる中島みゆきという名の麻酔
「月を跨ぎそうだよ」LINEに銀河ほどの背丈になったあなたを思う
解説=笹公人/帯=俵万智
栞=江戸雪/富田睦子/山本夏子
装幀=花山周子
【著者プロフィール】
1979 年 千葉県生まれ。
2013 年 「未来短歌会」入会、笹公人氏に師事。
2016 年度「未来賞」、第9 回「中城ふみ子賞」次席など。
ご近所短歌サークル「たらちねmama」メンバー。
2025.9.29刊
四六判/208頁
ISBN 978-4-86272-813-5