たんぽぽののっぽがニカッと咲いている色んなことが起こるもんやね
2021年から2024年夏頃までの388首を収録。
2頭の犬がいた山での生活、のその後の単身生活。自身の病や父の介護と看取り。
父親を見送り、病からも解放され、今は夫との暮らしに戻った著者が、一度は捨てようとした苦難の時期の作品をまとめた第六歌集。
それでも、ふっと翳る日があります。ぐるぐると、何周もおんなじところをまわっている感じがして、しんどい日もあります。
まあでも、人生まわってなんぼ、ですわ。ですよね。「ねじ花」の巻きのぼる花を心に咲かせて。
(あとがきより)
まわり道したから見えた景色があった──第五歌集『そこらじゅう空』、
エッセイ『2 Dogs』に続く著者第六歌集
装幀=花山周子
《収録作品より》
夢にいてくれた亡き犬尾はふらずわれを見ておりさまようわれを
好きにするこれからだって雨雲が遠き山並みぼやかしたって
翳りゆく時を小さな草たちは日なたの記憶を葉うらに溜めて
壊れものなれば尊しにんげんの壊されつづくこの世に誰も
この夏のつくつく法師の儚さを終のねむりに思い出したし
《著者プロフィール》
なみの・あこ
1963年、愛知県生まれ。
1999年、「塔」に入会。
2003年、奈良県西吉野に移住、山間の茅葺き屋根の家に10余年暮らす。現在は大阪に在住。
2005年、「寺山修司の見ていたもの」で第23回現代短歌評論賞受賞。
2013年、第三歌集『バード・バード』で第9回葛原妙子賞受賞。
現在、「塔」選者。
歌集は他に『鳴(メイ)』『ばんどり』『「ロフ」と言うとき』『そこらじゅう空』。
エッセイ集『2 Dogs』。
2025.12.12刊
四六判ソフトカバー/192頁
ISBN978-4-86272-821-0