寿命があればもっと老いたい。短歌を杖として。
五七五七七の短歌は、小舟。
千三百年のあいだ、日本人が魂を乗せてきた不朽の舟である。
2022年から2025年の「380首」を収めた第十七歌集
【歌集より】
今日会ひし人の心と言の葉を籠むる小箱をわが心(しん)にもつ
死者はみな遺し来しものを忘れぬと茎立てて言ふ曼珠沙華の赤
声をもて抱(だ)くこと得意とする我は今日三人を抱きしめにけり
人殺す無人兵器を人造り人が操る 人はわりなし
過ぎ去りし八十年はどこにあるげんげんげんげん幻世(げんせ)か現世
装幀=岡 孝治
【著者略歴】
(いとう・かずひこ)
1943年、宮崎市生まれ。早稲田大学第一文学部哲学科卒業。
早稲田短歌会を経て「心の花」に入会し現在も会員。「現代短歌 南の会」代表。「牧水研究会」会長。
第六歌集『海号の歌』で読売文学賞、第十歌集『微笑の空』で迢空賞、第十一歌集『月の夜声』で斎藤茂吉短歌文学賞、第十三歌集『土と人と星』ならびに評論集『若山牧水──その親和力を読む』で現代短歌大賞、毎日芸術賞、第十四歌集『遠音よし遠見よし』で詩歌文学館賞、2022年、第58回短歌研究賞を受賞。
毎日歌壇、宮日歌壇、西日本歌壇などの選者。若山牧水賞選考委員、牧水・短歌甲子園審査員長などを務める。2022年、旭日小綬章受章。2025年、宮崎県県民栄誉賞を受賞。
2026.8.16刊
四六判上製/236頁
ISBN 978-4-86272-832-6