短歌は生きてゆく力
空の深さに、風の輝きに、水の行方に敏感に感応する心と言葉──中平武子さんの歌の源には永遠に対する憧れがたしかにある。また故郷の地や友をはじめ身のめぐりの人たちへの熱い思いが、歌集に血を通わせていることもたしかだ。清新な抒情と生きる人たちへの熱い視線は、第四歌集『あこがれやまず』でも変わることなく、さらに深まりながら読者の心に沁みとおる。 日高堯子
【歌集より】
湖の薄氷ひとつ拾ひあげ空にかざせば夕日のやどる
トンネルを出るたび霧の深くなり列車は標高上げて行くらし
帰り来て帽子ぬぐ時卓上に花びらひとつ散りて静まる
親追ひて池に入りし鴨の雛ひかる水の輪それぞれに曳く
霧ふかき夕べの道の人影は遠ざかる影か近づく影か
御仏にはだらに残る金箔は涙のあとのやうにも見ゆる
【著者プロフィール】
中平武子(なかひら・たけこ) 本名 山田武子
1942年 愛媛県にて出生 介護福祉士、社会福祉士として働く
1986年 「運河の会」に入会 川島喜代詩氏に師事
2008年 「星座の会」に入会 尾崎左永子氏に師事
2013年 「歌林の会」に入会
2004年 歌集『火の花』出版
2013年 みんなのエッセー集『はぁもにぃ』出版
2020年 歌集『しらべは空に』出版
2023年 歌集『水の詩がきこえる』出版
2026.4.3刊
かりん叢書
四六判ソフトカバー/192頁
ISBN 978-4-86272-823-4