独り暮らしだけれど時には十脚の椅子が必要になる事がある。親族が集まってくるのだ。
一人暮らしでも独りではない。人に囲まれている。
親族との関係が密だということばかりではない。それは永野さんの、他者との付き合い
方にあるようだ。
沖ななも(跋より)
【歌集より】
アルバムを見れば君との思い出のシチリアの海いまだ碧くて
通学の子らの間を横切って元荒川の朝を見に行く
穏やかな暮らしあるのは穏やかな夫が遺した場所があるから
一人居の居間に十人集い来て椅子が十脚どうにか揃う
梅干しを漬け込みし甕を姑から貰い受け継ぎ五十年経つ
七度目の年女なりこの星にまだ居座らんと手足を伸ばす
【著者プロフィール】
昭和16 年 群馬県館林市に生まれる
昭和42 年 結婚 越谷市に住む
昭和47 年 岩槻市(現さいたま市)に転居
令和元年 「熾の会」に入会
装幀=辻村敦子
2026.7.22刊
熾叢書
四六判上製/208頁
978-4-86272-825-8