念力人生 五十一年目の 折り返し
父を送り、母が倒れ、
自らの手術、エコーの影。
いやおうなしに「後半」が始まる。
2022年から2026年の作品による第六歌集。
<収録作品より>
見舞うたび「太りすぎだ」と叱られる痩せるしかなく痩せたる母に
七割は悪性という腎臓の影を三度見、四度見するわれ
捨てられた悪夢が匂うゆうぐれの獏の細道ゆく獏の群れ
ファミコンよ、ひょうきん族よ 前借りの楽しさだったとわかる今なら
見逃したメールはないか 午前四時、忍者に怯える家康のごと
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2022年刊行の『終楽章』以後の4年間の作品を収めた第六歌集。
『終楽章』で父を見送ったのち、『蟹の恩返し』では母が倒れ、次には自身の手術や病。また「はじめての宮仕え」という人生の大きな転機もあり、著者は51歳を迎えた。
歌集名は民話の蟹、先祖ゆかりの寺の蟹、星座の蟹、癌という名の蟹など、さまざまな姿をとって著者の前に現れた蟹から名付けられた。
装画=榎本了壱
装幀=宮本亜由美
【著者略歴】
1975年東京都生まれ。「未来」選者。
大正大学表現学部教授。現代歌人協会元理事。日本文藝家協会会員。
歌集に、NHKで連続ドラマ化された『念力家族』、『念力図鑑』、『終楽章』など。
他の著書に『NHK短歌 シン・短歌入門』、『言霊の短歌史』(鎌田東二との共著)、最新刊『笹公人の妄想短歌天国』など多数。
「牧水・短歌甲子園」審査員。「新・介護百人一首」選者。「岡井隆賞」選者。
2026.9.12刊
四六判上製/168頁
ISBN 978-4-86272-835-72-6