平成から令和、そしてコロナ禍の日々──。
森羅万象を、定家や漱石を、老いゆくわが裡の哀歓を歌う。
2019年1月から2021年5月までの466首を収録する第十六歌集。
【歌集より】
信号を渡りゆくときわが老軀すこし秤動しながら歩く
群れ歩くスマホゾンビのそのうへに豪雨のごとく電波降るらし
日常の些事は一生を豊かにす茄子煮が上手く出来たことなど
コロナ禍の或る日おもへりにんげんは話し相手が無ければ 海鼠
本当のわれに会ひたく歌を詠み、詠みて本当のわれ見失ふ
装幀=岡孝治
2021. 7.7刊
四六判上製/248頁
ISBN 978-4-86272-678-0