混迷は言葉となって現れるときに、少しも暗澹としてはいない。
現実を見据えて全身汗まみれになりながらも、生を希求する姿が美しい。
──外塚 喬・帯より
心地よい調べの歌が多く、
都会の風景や過ぎていく青春の感傷が詩的に昇華されている。
──大崎瀬都氏(「短歌研究」書評)
【歌集より】
アフガンストールを巻けば少年めく僕らさくらの森へあくがれてゆく
原宿のホームのベルと散りゆける花 れらみれらみしらみれしら
てのひらにのせたるピアス 土耳古とはとほきところとまなこをつぶる
東西線の夜に車輛をうつりゆくカムパネルラがさうしたやうに
僕のものと決めて見てゐつひとつ星と高層ビルの窓のひかりを
【著者略歴】
栗原 寛(くりはら・ひろし)
1979年 東京都生まれ
2001年 早稲田大学第一文学部文学科日本文学専修卒業
2005年 第一歌集『月と自転車』(本阿弥書店)出版、
現代歌人協会賞最終候補となる
2007年 新世紀青春歌人アンソロジー『太陽の舟』(北溟社)に参加
「朔日」同人、現代歌人協会会員
作詩
「永遠の蒼きわたつみ」(二宮毅作曲)
「このうたを未来へ」(信長貴富作曲)
「まほらの海を」(池上眞吾作曲)
*上記は刊行時のもの
以降のプロフィールは
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2012.3.3刊
朔日叢書
四六判上製/148頁
ISBN 978-4-86272-271-3