「一冊の読後には人を恋う思いに貫かれていることに気づく。
それは恋する相手だけでなく、母や亡父への思いでもある。
そして好物の西瓜は著者自身ではないだろうか。」 ——落合けい子(解説)
歌集より
婚活は結婚のための活動です。私はぜったいとんかつが好き
パラパラとページをめくる薫風とスニーカーで行間を飛ぶ
あの星はオリオン座だよ息白くつないだ指先母の温もり
牛丼の半熟玉子箸で刺す黄身が溢れて夜が明けてくる
ベランダを見るとこの先泣くだろう「待つ」という名の言葉の不在に
デザートの西瓜はほんのり色褪せて夕立のよう香り広がる
2025.9.20刊
礫叢書
四六判/176頁
ISBN978-4-86272-815-9