振り子の時計     長澤ちづ歌集

前歌集出版から十一年。その間に身に降りかかった
さまざまな出来事を刻むように歌にとどめ、
大きな歴史の流れへ、さらに未来へと思いを巡らせた。
自らを俯瞰しつつ、大切な<時>と向き合った第六歌集。



【歌集より】

ポルトとうお菓子がありて佐世保には 食めば少女期ぽろぽろこぼる

戦艦の保有数こそ国力とゆめ思わねど目の当たりにす

癒えてゆく過程というは神さびて杳か旅して帰りたる鳥

人も犬も疲れて夏を籠るとき大き傘なす庭の芋の葉

教室で教えられれば疑わずこの子もきっと軍国少女

暮鳥の「山はぷりずむ 山山山」雪片、精霊、光渦まく

水澄めばスクリューの泡も玻璃の玉 永遠ならざるものを航きゆく



装幀=倉本 修





2024.6.11刊
ぷりずむ叢書第二十四篇
四六判ソフトカバー/172頁
ISBN978-4-86272-768-8
販売価格 2,500円(税込2,750円)

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