衛星のごとく互にありたるをきみ流星となりて飛びゆく
岩田正氏が亡くなった日を歌った連作「別れ」、
その後の思いの挽歌を含む、第二十七歌集。
【歌集より】
朝餉とは青いサラダを作ること青いサラダは亡きはは好みき
今日なさず明日なさずされどひと生にはなさんと思ひゐることのある
長考し長考し見ゆるものありや一石を投ずるといふことの大きさ
梅咲けばツルゲーネフの『散文詩』きみの声きくごとく取り出す
夫のきみ死にてゐし風呂に今宵入る六十年を越えて夫婦たりにし
大ぶりの椀にたつぷり雑煮して謹賀新年ひとり正月
装幀=倉本修
2018.11.3刊
/四六判上製/284頁
ISBN 978-4-86272-596-7