「どんな時も加藤さんは心を述べることに率直で、正直だった。
伸びやかに響く下句のひらめきやユーモアや批評、
そこに意気をこめ前を向いてゆく作者が見える。」
米川千嘉子(帯より)
【歌集より】
秘仏とふ菩薩覗けば暗きより菩薩は吾に左手(ゆんで)のべをり
水張田(みはりだ)は校歌に歌ふ山映し山を小さく揺らして光る
征かせてはならぬこの児を ひらかなに五歳になつたと喜ぶ手紙
力まかせに放りし独楽がやはらかく放りし独楽にまたも負けたり
【著者略歴】
加藤トシ子(かとう・としこ)
1944年 秋田生まれ
2012年 第一歌集『いちまいの葉つぱ』
2013年 潟上市飯田川芸術文化協会賞受賞
2021年 秋田県歌壇功労賞受賞
秋田県歌人懇話会常任理事、事務局長を経て、現在理事
2024.9.12刊
かりん叢書第435篇
四六判ハードカバー/188頁
ISBN978-4-86272-785-5/C0092